大正生まれのその方は、とにかく明るく行動的で、海外にも度々出向き、おしゃれで笑顔が似合う女性でした。
日本の伝統行事を大切にし、年神様を迎えてのお正月、書初めから餅つき・ひな祭り・七夕等、何かあるごとに家族で集まって、そのひと時を楽しみ、お孫様もお婆様を心から慕い絆を深めていったものと思います。
料理の腕前もレパートリーが広く、ラッキョウ漬け・ちらし寿司・ぼたもち・白和えなど、テレビや雑誌で作ったことのない料理を見ると、すぐに作って家族に振舞っていたそうです。
そのお孫達様も成長され、高校時代にはお婆様の家に下宿をするようになり、我が子以上の愛情を注ぎ、益々の成長を楽しみにされていたと思います。
お孫様の卒業時には、貯めたお小遣いで白いブラウスをプレゼントされ、それを大変気に入り、何度も袖を通して外出をされたとお聞きしました。
思いやりに溢れた故人様を偲び、ご葬儀参列の皆様への会葬御礼の文面に、この様な内容が綴られております。
家族を大切に想ってくれてありがとう。
皆を愛し、それ以上に愛された、そんな人間味溢れる母を感謝の心で見送ります。
これだけ大切に想われた方だからこそ、海外へ嫁がれたお孫様から「わたしもそこにおりたい。」と何度も携帯電話でご家族に訴えかけ、喪主様(故人様の長女)は、「大丈夫、みんなの思う心はひとつよ。」と、泣きながら帰れなかったお孫様へ優しく言葉をかけていました。
お花畑をバックに、優しい笑顔で写っておられるご遺影の衣装は、お孫様から贈られたブラウスを着用したものが使われております。
娘様・お孫様に多くのことを教え慈しみ、それを受け継ぎ、遠くの地からでも大切な人を想う感謝の念。
家族の繋がりの中で、何事にもかえがたいものを心に記し、旅立っていかれたのではないでしょうか…。
人間社会の中において、決して1人ではつくることのできない「ご縁」の有り難さを、私達は想い伝えていきたいと思います。