ある調査によると、終末期医療について家族で話し合ったことがあるか?という質問に対して 「詳しく話し合った」が 2.8% 「一応話した」が 39.4% 「全く話をしていない」が 55.9% という統計があるそうです。今後、上記の数字は変化していく事も予想されますが、親子別世帯や高齢世帯・お一人様世帯が益々増加し、超高齢化社会をむかえた中で、自分の最後は自分で選択すること=「生きるとは、どういうことなのか」「生きる価値とは何であるか」という本質を、家族にお伝えしておく必要があるべき時代に入ってきたのかもしれません。
私も長きに渡り多くのお客様と接し、直接お話をお聞きする中で生前中に家族へ知らせてほしかったこと、ご兄弟や親族で話し合いがこじれ意思疎通が以前の様にできなくなった等、そんな話をお聞きするにつれ残るご家族にとって後々の大切な遺産とは、生前の明確な意思を示し、その遺志に基づき、より良い家族としてのご縁や文化が継承されていくことではないかと考えております。
ひとつの事例として下記の様な文面を拝見させていただいた事があります。(実際の名前と文面構成は、変更させていただいております)
「私、中村〇〇(フルネーム)は、延命治療は希望しません。痛みに耐えるのは大変なので、苦痛を和らげることはして下さい。認知症の症状がある場合や、要介護が必要となった場合は、○○の施設への入居を希望します。(この場合には、家族信託や成年後見人が必要となるケースもあります)
葬儀は長男〇〇を喪主とし、長女〇〇夫婦と、兄弟○○夫婦とその家族、お世話になった○○さんと○○さんで送って下さい。葬儀後の埋葬の希望については、〇〇葬祭館の Y さんに全て伝えています。生命保険証書・他権利書・預金通帳類は一緒に金庫へ保管し、相続に関する私の希望も分かるように明記してあります。私の衣類・愛用品は必要であれば、家族で分けてもらい、不要であれば遠慮なく処分をして下さい。今まで家族や友達と、有意義な時間を過ごせ、心から感謝をしています。ありがとう。
○○○○年11月20日 中村〇〇
この文面は、あくまでも過去の参考文例であり、この通りにする必要性もありませんし、エンディングノートの活用も可能です。大事なことは、こじらせない将来の旅支度とその後の継承を、環境が整っているときに、いかに始められるかということではないでしょうか・・・。