ご葬儀をお世話させていただいた遺族様より、長く苦楽を共にされたご主人様が、要介護5となり自宅介護においての苦労や思い、そして大切な方のご葬儀・法要を終え、ご納骨を済まされた今の心情をお話して下さいました。
同じ境遇におかれた方や同じような思いをされた方に少しでも「人には云えない想い」が伝わればと考え、今回ご紹介させていただきます。
要介護度5とは、最重度の介護を要する状態で、生活全般で全面的な介護が必要なことです。
そして自宅のリフォームを行い、約2年半に渡る毎日の日課として、朝はご主人様の顔ふき、髭剃りから始まり食事は流動食の為、食べたい物を聞きながら、それらをミキサーにかけとろみ剤を混ぜ合せ、ゼリー状にして1食あたり約40分をかけて食べさせていました。(介護職の方にも定期訪問をしていただきお世話になりました。)
おむつ交換は3時間毎に行い、おしりがかぶれないように気をつけ、着替えやシーツ交換もご主人様の体を起こしながら行いました。(喉にからまった痰をとる事も大事に至らないよう日々行っていました。)
上記の事が全てではありませんが、お世話をする方にとっては日々24時間体制で、当然ながら睡眠時間は不規則となり、ご主人様の容態によっては一晩中睡眠がとれない日もあったと伺っております。
時には「もう、こんなにしんどかったら楽になりたいね。」と声をかけたことやご自身の体力、精神的にぎりぎりのところまでになりながらも、テレビや新聞の同じ立場におかれた方の介護現場の欄に目を通し、耳を傾け、救われたこともあったそうです。
「今思うことは家でお世話をした分、大変な事も多くあったけど本当にあっという間でした。ここから居なくなってしまうとやはり寂しさもあります。主人も最後まで頭の中はしっかりしており、カタチや味は違っても好きな物を口から食べることも出来て、2年半も生きる事が出来たのかもしれません。今も介護の癖で、夜中の決まった時間に目が覚め、ふとベッドがあった部屋を振り返って見ると、そこにはいるはずもなく、それからは眠れなかったりする日もあったりします。これは時間の経過がないと多分、前の生活のようには戻れませんね…。」
奥様から献身的な介護を受け、ご自宅で最期を看取られたご主人様…
奥様への大きな感謝を胸に旅立たれたのではないかと思います。
そして長きにわたる、誰もができない、ご自宅での介護、本当にお疲れ様でした。
皆様の家庭環境や、それぞれにおかれている立場によって、その時々の状況は大きく変わってくるとは思いますが、誰がいつ介護をうける立場になるかも分かりません。
もしもの時を考え、今の思いや希望を伝えておく事も、大事な心記想伝ではないでしょうか。